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9月の統計を概観して

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先月号では、多少加速感が出てくる可能性も指摘できると述べたが、ふたを開けてみると加速するものもあれば、減速するものもありで、全体としては緩慢な伸びにとどまっている。目先も明確な加速は期待できないと考えている。

生産はプラス予測が続くが、まだ勢いが弱い

反転上昇が期待された9月の鉱工業生産は、当社季調では横ばいに終わる(図A青線)。10-11月予測線は上昇を維持しているが、先月時点より傾きは小さくなった(同赤線)。赤線は先々月までは右下がりだったので、右上がりを維持していることはグッドニュースであるが、筆者としては期待ほどではなかったと言わざるを得ない。


日本の輸出数量は再び増える勢いが増した(図S赤線)。引き続き計画修正幅は平均の黄線より上にあり(図B)、在庫も順当に減っている(図C)。揺るがない世界生産の増勢もあって(図U)、日本の企業がまだ生産に慎重なのはますます理解できないところである。

実質消費は9月に若干下振れ

世帯消費動向指数(図D)やGDPの民間消費と近い動きをする消費活動指数(図F、実質)は、9月に若干下振れした。図DはHP法によるトレンド線もわずかながらマイナスになった。実質小売販売額(図E)だけはプラスであるが、先月よりリアルタイム伸び率が低下している。後述するように、このまま実質消費がピークアウトするとは考えていないが、目線は先月より下方修正せざるを得ない。


それもあってか、サービス業系の統計は、鉱工業生産系を除く総合CIが9月は低下している(図G)。第三次産業活動指数はまだ8月までなので好調だが(図H)。


ただ、雇用や所得の状況は悪くない。常用雇用指数はパートタイムでも再び増加して、死角がなくなったし(図P)、賃金の名目総額も再び上振れし、実質でも撥ねた(図Q)。こうしたことから、まだ消費に黄信号を出す必要はないと思われるのである。


日本経済は、まだ自身の成長に半信半疑であり、ともすれば弱含む。7-9月期は一時的にマイナス成長と思われるが、雇用のファンダメンタルズや海外経済の上昇基調などを考慮すれば、やはりここらでもう打ち止めとは思えないのだ。

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