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12月の統計を概観して


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足踏み状態だが計画は強い

先月号では、日本経済もゆっくりだが回復していることに変わりはなく、(コロナが活発になっても)二番底へ向かっているわけではない、と述べた。12月はわずかに頭を下げたグラフが多く、いわば足踏み状態となったが、後述するようにその先は再びプラスと考えている。

12月の鉱工業生産は、先月号の予測線通りに連続して低迷(図A)。しかし1~2月(赤線)を見越すと再び加速する計画になっている。この通りならV字がまだ終わっていないことになり、筆者の最近の見通しよりもむしろ強い。そして宿願のコロナ前の水準にも、凡そ到達することになる。このところ図Bが示すように、計画(予想)の修正幅はゼロに近い。つまり計画はほぼ達成されていることになり、図A赤線への筆者の期待も決して低くはないのである。

対する世界鉱工業生産(図Q)は、同じ12月段階でコロナ前の水準をわずかに上回って史上最高値を達成している。日本は引き続き2ヶ月遅れのイメージだが、残念ながら史上最高値となると雲の上だ(2008年2月の119.2)。輸出数量指数は12月に一昨年12月と並んだ(図N)。ただし世界輸出数量(図R)はもっと先を行く。日本企業は引き続き目線を高く保つべきである。

内需系の系列は、末端が少しマイナスになったグラフが多かった。第三次産業活動指数(図D)、鉱工業生産などを除いた総合CI(図E)、家計消費(図F)、公共投資(図H)、給与(図L)などがそれである。しかしどれも大きく腰折れたわけではないので、前述の生産動向の回復予想と併せると、一時的な調整に終わるだろうと考えている。緊急事態宣言は、自粛が商売に直結する一部のサービス業種以外には、初回と違って大きな影響はないと思われる。

感染者数は第1波、第2波、第3波とどんどん山が高くなったが、経済統計には第1波の谷以外は顕著ではない。人間社会には適応力があるのである。

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