藻谷 俊介2023年5月10日2 分3月の統計を概観して先月号では、2月の鉱工業生産が内外ともに反転し、不況とは反対の方向に向かっていることを示し、まだ勢いは弱いが底は入れた公算が大であると主張した。今3月も内外で回復基調を示すデータが多数を占めるようになり、回復が始まっていることは9分9厘間
藻谷 俊介2023年4月28日7 分コロナ拾遺 28 エピローグコロナデータの更新は3月末で完全に停止した。過去3年間にわたって毎日、週末でも、旅先でもスクショを取って更新してきたので、止めた後しばらくは喪失感に悩まされるほどだった。日本も含めて全数報告ではない国が大半となって、もはや数値の信頼性が確保できなくなったこともあるが、筆者自身コロ
藻谷 俊介2023年4月20日2 分月例中国統計ウォッチ 3月分3月は先月までの流れを確定する形で、V字回復を示すグラフが並ぶことになった。鉱工業生産は昨年末の短い踊り場から脱出したことが鮮明になり(図A)、リアルタイムでの伸び率は年率約7%と、5%成長目標には十分な勢いを回復した(図A’)。今回3か月分が一気に更新された図B~D、特5~6は
藻谷 俊介2023年4月14日6 分3月の米CPI統計から改めてインフレを振り返るさて、アメリカの3月のCPIが12日(日本時間深夜)に発表された。各種のコメンタリーを読むと、どうしても自身のスタンスが先にありきで、全体を論じる人はインフレは終わりつつあると言い、まだまだ終わらないと言う人は部分(サービスやコア)を強調している。筆者のスタンスは前者であり、昨年
藻谷 俊介2023年4月11日2 分2月の統計を概観して先月号では、輸出と鉱工業生産は一段と縮小したが、2-3月には明るい兆しもある上、実質消費の上昇トレンドも崩れていないと述べ、景気は引き続き底入れに向かっているとした。実際に2月の鉱工業生産は内外ともに反転し、不況とは反対の方向に向かっている。まだ
藻谷 俊介2023年3月29日6 分日本のサービス・インフレ勃興の可能性についてこの3月は、①インフレ率が正常化してきたこと、②世界経済、特に中国経済が上方転換つつあること、③好景気の中で緩やかなインフレと緩やかな利上げが組み合わさることは可能で悪い話ではないこと、などを軸に機関投資家向けの集中プレゼンテーションをこなしている。 その渦中でSVB破綻を発端に
藻谷 俊介2023年3月17日2 分月例中国統計ウォッチ 2月分今回1-2月分の数字がまとめて加わった統計は、そのすべてが底を形成するような線形になっている。図Aの鉱工業生産はその筆頭で、もともと趨勢的には下がっていなかったが、昨年末にかけてのちょっとしたマイナスを覆して右上がり趨勢の維持を確認した。末端の年率4.8%(図A’)という勢いは、
藻谷 俊介2023年3月10日2 分1月の統計を概観して先月号では、下がっているグラフはあるが、反発したり、底堅さを見せるグラフが次第に増えていて、底入れ(踊り場脱出)が近いことを予見させると総括した。今月も同様の総括となる。輸出と鉱工業生産は一段と縮小したが、2-3月には明るい兆しもある。 1月の鉱
藻谷 俊介2023年3月2日4 分不況と思うから曇る眼鏡先週号に続いて、粘着性のインフレなるものについて考えていく。ちなみに先週号では、粘着性と思われている裏には、インフレの把握と言う基礎的なところでの誤解があるのではないかと述べた。これは、それ以前から筆者が問題視してきた前年同月比伸び率によるインフレ率の「見かけ上の後ずれ(図A)」
藻谷 俊介2023年2月27日7 分物価水準論を考える依然として構造インフレとか粘着インフレという言葉が飛び交い、金融市場でもインフレが終わるという考えと、終わらないという考えが、短時間に主導権を奪い合って、方向感が揺らぐ状況が続いている。一旦形成された一般のインフレ期待は簡単には下がってこないことを痛感する。改めて問題になるのは
藻谷 俊介2023年2月17日2 分月例中国統計ウォッチ 1月分ほとんど季節調整されていない中国の統計を、春節補正の季節調整ベースで並べて観察するのが月例中国統計ウォッチである。先月号では、中国経済が復調するのは早くて4-6月期以降とするのが現実的、と述べた。中国ではある時期から1-2月の統計を合算して3月に発表する悪しき慣習が広がり、2
藻谷 俊介2023年1月27日3 分そこはかとなく見えてきた回復の端緒報道を見ると「海外経済を中心に今年は厳しい」という言説がいまだ多数派だと感じるが、それはまさに昨年2022年の形容なのであり、今年2023年はその次の動きを考えなくてはならない。筆者は定点観測者として毎日数多くのグラフを更新しているが、最近のデータの様子はとなると、まさにタイト