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インフレ予想に影落とすトランプ関税




地区連銀の製造業サーベイで、1月は先行きの価格判断DIが上振れていることを以前の当週報で見た。2月調査ではどうだったか。NY連銀調べの仕入価格先行きDIは1.8ポイント上昇の56.5、販売価格先行きDIは0.6ポイント低下の42.4。前月比では小動きだが、水準自体はやはり高い。更に、仕入価格現状DIは11.1ポイント上昇の40.2、販売価格現状DIは10.3ポイント上昇の19.6だった。フィラデルフィア連銀調べでも、仕入価格現状DIが8.6ポイント上昇の40.5、販売価格現状DIが3.2ポイント上昇の32.9。既に足元で仕入価格中心に上昇圧力が高まっている。


ミシガン大消費者サーベイでもインフレ予想の上振れが注目された。2月確報値(中央値)は1年先インフレ予想が1月確報値比1.0ポイント急上昇の4.3%、5年先インフレ予想が同0.3ポイント上昇の3.5%。前者は23年11月4.5%以来、後者は95年4月3.5%以来の水準。トランプ関税の物価への影響に身構えている様子が明らかだ。消費者センチメント指数2月確報値も前月比7.0ポイント低下した。支持政党別、現状・先行き別に見ると、民主党支持層が現状15.4ポイント、先行き12.6ポイント各大幅低下。無党派層は順に3.1ポイント、3.2ポイント低下。共和党支持層は現状3.6ポイント低下、先行き2.6ポイント上昇。共和党支持層も現状指数は伸び悩みが目立つ。


消費者マインドとは裏腹に、S&P Dow Jones Indices社調べのS&P500種EPS見通しは24年9.1%増に続き、25年15.0%増、26年14.5%増と強めだ。特にITセクターの25年33.8%増が目を引く。当然、生成AIへの期待が含まれる。巨大ITに関しては国際デジタル課税に対するトランプ政権の反対姿勢も追い風だろう。ただ、今は「高い期待」を「高いハードル」と解釈すべき時期かも知れない。

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