藻谷 俊介

2021年3月31日1 分

鉱工業生産 2月分

最終更新: 2月4日

新聞はマイナスを通りの良い半導体不足で説明して終わりであるが、3頁のグラフを見れば、2月の実績(赤線)が見込み(青点)を下回らなかったのは鉄鋼だけであり、その他の業種はすべて未達になっている。車載半導体の問題だけで、それらをすべて説明できるはずがない。それ(半導体不足)もあったが、それがなければ好調だったとは言えないわけである。先月述べたように、春節を調節しない経産省の季節調整によって、そもそも2月の数値には向かい風が吹く。経産省季調の問題、各業種の生産の見込み違いの問題(図3A)、自動車の半導体不足の問題…様々な要因が重なって、プラスの予想に反してマイナスに終わったわけである。

ただ、春節の影響は取り除くことが出来るので、紛らわしさを一つ減らすことはできる。それが当冊子のグラフである。その上で、3-4月にかけての推移を見ると、図2A赤線が示すように少しは増産になりそうである。図3Aの見込み違いがどんどん拡大せず、図2A赤線が下向いていないことを確認するのが、今号の目的だったとも言えるだろう。自動車は3月も辛いだろうが、当社季調ベースで全体としての増産傾向が続く間はそこを心配しても仕方がないと考えている。