別府 浩一郎

2021年4月27日1 分

雇用への認識改善が目立つ米家計

1ヵ月前、米メディア株暴落をもたらしたアルケゴスの一件に関しては、VIX(恐怖指数)の落ち着きぶりの方がむしろ興味深かった。それ以前の長期金利上昇など様々なイベントに対する反応と比べ(それらもごく短期間の内に終息したが)、「ほぼスルー」と言っても良いほどだ。富裕層に対する課税強化案に対する反応も無いに等しかった。大きな背景として、主要国の中で米国が最もワクチン接種が進んでいるという事実があるだろう。

Conference Board調べ米国消費者信頼感指数の改善が力強い。先月3月は総合が前月比18.6ポイント上昇。内訳は現状が20.5ポイント、先行きが17.4ポイント上昇(確報値)。昨日発表の4月分は総合12.7ポイント、現状29.5ポイント、先行き1.5ポイント各上昇(速報値)。特に目に付くのは、雇用に関する認識が現状、先行きの双方で大幅に改善していることだ。大型経済対策とワクチン接種進展が寄与していることは疑いようも無い。先月10.7%だった最広義失業率は今後3ヵ月以内に一桁台が見えて来る。主要な住宅価格指数の全米ベース前年比も軒並み12%前後を記録した。こうした数字が発表された昨日のFF金利先物市場では、2023年12月限清算価格はFFレート0.48%に相当する水準となった。「2023年末までゼロ金利据え置き」を真に受けているより、FRBのスタンス変更のショックを和らげるという意味では好ましい。