藻谷 俊介

2022年9月30日2 分

鉱工業生産 8月分

8月は、当社季調では前月比0.4%増の97.7であり、コロナ前水準にも達していない。事前のエコノミスト予想平均が0.2%増(右記事)、後述する世界鉱工業生産が0.1%増(図4A)であることから見ても、右図の通りやたらぶれの大きい経産省季調が不自然に強い数字(2.7%増)を出しただけであろう。このパターンだと来月は反動減が見込まれる。5頁で国際比較しても、紫線のJPは明らかに挙動不審で浮いている。と言うことで、以下は当社季調で低めに考えていく。

前号でテックのところで大きな、前例のない大きな減産が予定されていることを警戒したが、結果としては大幅減産が現実のものとなった(図3J)。取り敢えず次の青点(9月)と末端の黄点(10月)は赤線対比で少し反発しており、どんどん深みにはまる減産ではなさそうだが、平均計画実現率も下がっていることから、来月早々に反発するかもまた不明である。従って、生産全体を示す図2Aの予想もまだ多少下を向いている。

とは言え、投資財生産が急に強くなり(図2M)、なかんずく生産用機械(図3E)が大幅増産になったお陰で、8月の生産全体が低下を免れたことは朗報であった。ただ、上述の世界鉱工業生産も日本の極端に強い数字を除外すると横ばいであり、出荷(図2C青線)、製造工業生産実績(図3C赤線、大手企業中心)もマイナスだったことから、やはり生産は一旦頭打ちと冷静に考える必要はある。6頁に示されたテックの生産調整も国毎にばらつきはあるものの、まだ完了したようには見えない。図2A赤線が上向くまでは警戒が必要だ。