藻谷 俊介

2022年7月29日1 分

鉱工業生産 6月分

先月号では、5月が大幅マイナスだったのはGWの季節調整不全であり、6月の公表値は見かけ上急反発する可能性も大きいと述べたが、右図あるいは図2Bが示すとおり、予測通りになった。先月、経産省が基調判断を下げてしまい、今月再び上げざるを得なくなったのは、見苦しい。昨年の5月も同様であり、役所はその原因を自ら調べておくべきであった。5頁を見ても、明らかに日本だけ不自然である。

と言うことで、確かに中国ロックダウンの影響が遅れて5月に現れたとは言うものの、図3Aから一瞬にしてネガティブ・サプライズが姿を消し、図2Aの予測線は再上昇となったわけで、目先の鉱工業生産を不安視する必要はないことは、誰の目にも明らかになったと言うべきだろう。

世界生産(図4A)も、中国のロックダウンを乗り越えて、新高値を更新した。同じく中国の短期的な調整に影響されたと思われる半導体やデバイス系の生産も、6頁を見ると日中で反発が見られ、韓台でも全部ではないが反発が出てきている。目下不安視されているアメリカのサイクルとは別に、同様に大きな中国のサイクルがあり、それが戻っていることは米国統計主導の金融市場では認知が薄い。しかし、それを知っておくことは有益だろうと考えている。