藻谷 俊介

2021年8月1日1 分

鉱工業生産 6月分

先月号では、車載半導体不足によるとされる自動車生産のマイナスについて、「図3Kを見ると6-7月は戻す計画であり、一時的な問題に終わる可能性も大きい」と述べたが、まさに右記事はその通りになったことを示している。

そして、その問題がほぼ解消したことで改めて明らかになったのが、筆者がこれまで述べてきた一層幅広い鉱工業生産の不調である。もはや車載半導体不足のせいにすることはできない。図2Aは生産が頭打ちになっていることと、その継続を示唆している。在庫は今月、はっきりと底入れしたことを示した(図2J)。計画修正幅は近年平均並みに改善したが(図3A)、それは計画の点々がピークアウトして下がり実績の赤線との差がなくなってきたからに過ぎない(図3C)。要は計画を現実に合わせてきたのである。そして点々だけをなぞった動きも赤線にとって重要な意味をもっている。

他方、世界鉱工業生産も、よりはっきりとピークアウト線形になってきた(図4A)。日本は昨年のボトムアウトが遅れた分、今まさに12ヶ月伸び率で王様になっている状態だが(図5頁)、単にピークアウトも遅れているだけかも知れず、来月の動向がとても気にかかる。