藻谷 俊介

2022年7月2日2 分

鉱工業生産 5月分

報道は前月比マイナス7.2%でとても悪い結果に見えるが、そうでもないことを最初に説明したい。図2Bが示すように経産省季調と当社季調の間に大きな乖離がある。これは5月がゴールデンウィークを含むことによって、休日補正でぶれやすいためだ。今年は3連休が火水木、しかも4/29が金曜日だったので、理想的な飛び石で2日休むと10連休になった。だが経産省季調は暦通りで休日を判断するので日本人は5/2と5/6はフルに働いたとカウントする。当社季調では飛び石効果もダミーで勘案するので、それなりに休んだ企業が多かったと判断している。単に休んだから減ったのに、経産省はフル日数で計算するので、生産を減らしたと判断する。31日のうち1日の判断差は3%以上に相当するので、結果を大きく引き下げる。

実は昨年5月もGWの飛び石状況が比較的良く、図2Bでは赤線だけが極端に下がるという似た結果になっている。この時は半導体不足で自動車会社が宣言して操業停止したり、コロナで人流が極小化したので、筆者も不思議に思わなかったが、実は休日補正効果も輪をかけていたわけである。経産省季調では5月が特に鬼門なのだ。当社季調でもマイナスはマイナスであり、日本の在庫サイクルが自動車と電機で逆回りしていることは事実だが(図2F~H)、少なくとも図2B赤線のような急落ではなかったことはお伝えしたいところだ。

G17世界生産は反発しており(図4A)、日本の発表値の下振れは例外的だ(5頁)。これを以て世界的な不況を類推すべきではない。また昨年同様に、6月の公表値は見かけ上急反発する可能性も大きい。