藻谷 俊介

2022年5月31日1 分

鉱工業生産 4月分

当社季調では前月比+0.1%で、むしろ中国のロックダウンの影響は予想以上に小さかった形である(図2D)。経産省季調でも出荷を見ると、前月比マイナスではない(図2C)。このことは、先月号での図2A赤線が上向いていたこと、そして今月も上向いていることと矛盾せず、企業は中国のコロナ動静に身構えてはいるものの、別に不況が来ると思って生産や出荷を絞っているわけではないと言うことになる。大幅に計画未達だったのは生産用機械のみで、他はレンジの範囲内である(図3B)。

むろん世界鉱工業生産は、ウェイトの大きい中国のマイナスが含まれるので、前月比マイナスになっている(図4A)。しかし、図5頁が示すように、韓国は中国に連れて下がっているものの、台湾は先を見越してか増産に切り替えており、米国やタイはかなりのプラスだ。中国に引っ張られて、世界が不況になるような状況は見えてこない。

中国のPMIは、製造業も非製造業も4月を底にして5月は上向いており、恐らく5月の世界鉱工業生産は大きく戻すことになる。その意味でも図2Aは妥当であり、世界景気も崩れないと言う筆者の見通しに変化はない。