藻谷 俊介

2022年4月28日2 分

鉱工業生産 3月分

当社季調では前月比横ばいで、言葉の上ではイメージが異なるが、実際は図2Bが示しているように、どちらの季調で見ても低迷している。自動車部品の不足で大減産となった去年9月の谷からは、一旦持ち直しているが、その後は失速しているのである。その本筋が右記事から伝わってくるかどうか。

とは言え、前回の3月調査、今回の4月調査はいずれもウクライナ侵攻後の調査であり、その上で図2A(あるいはその計算根拠である図3C)が示す4-5月の生産予測がプラスであることには驚きを感じる。前号でも述べたが、このことはウクライナ情勢が極東日本のビジネスサイクルには大きく影響しないと企業が踏んでいることを改めて示唆している。実際のところ、図3Aが示す計画未達幅は侵攻前の2月が一番大きく、その後はむしろ縮小している。鉄鋼や化学などの素材系の生産計画にも、今月になって多少底入れ感が出てきている(図3D、3L)。

ただ、そうなるという保証はない。そもそもは企業が間違えるから、サイクルが生じるのである。気になるのは、3月の自動車の販売台数が、中米欧の三大市場で、それぞれの理由で急落していること(僚誌EcoShot乗用車八社生産参照)。それに呼応して韓国現代自動車も3月は大幅な減産に踏み切っている。こうした環境で、日本メーカーだけ図3Kのような生産計画を達成できるのか。それとも結局は遅れて減産に追随するのか。その点に注目している。