藻谷 俊介

2021年4月30日1 分

鉱工業生産 3月分

先月号では新聞が2月のマイナスを、通りの良い車載半導体不足で説明したことを批判したが、3月は結構なプラスになり右記事のとおり影響は小さかったと来た。図2Kを見る限り、輸送機生産への悪影響は出てくるとして5月からと思われる。

それはともかく、3月の全体の生産はまずまず伸び(図2B青線、当社季調)、計画修正幅も大きく改善し(図3A)、4-5月の計画は非常に強気になった(図2A、3C)。自動車は横ばいだが、それ以外、特に一般機械と電子部品デバイスは極めて強気の生産計画となっている(3頁)。

もちろん、そのとおり実現するなら良いのだが、筆者は不安である。海外勢との比較で言うなら、この強気は去年にこそ見せて欲しかったものである。あの時、日本は世界に遅れた。今もただ遅れて楽観的になっているだけではないのかと不安なのだ。

図4A~Bで世界生産を見ると、中国内需の減速などもあってだろう、最近は勢いが急低下している。自動車にしても半導体不足が言い訳に使われるが、実際に世界販売は頭打ち傾向である。一番美味しい時期はもう終わっているとしたら、図2Aや図3Cが実現して、図5頁で日本が上位グループに迫る、と言うシナリオは話がうますぎる(too good to be true)のではないかと思う。来月に注目したい。