藻谷 俊介

2月29日2 分

鉱工業生産 1月分

ダイハツ、トヨタ系の工場停止だけが原因なのなら心配はないのだが、実はそうではないところが今月のサプライズ。

先月号で筆者は、既に織り込まれていた1月の減産に対して、①在庫は絶対、相対を問わず減っていること(図2E~F)、②計画遂行においてサプライズ(意図せざる急変)がないこと(図3A)、③世界生産に変化がないこと(図4A)を理由に、一過性のものと解釈していた。

ところが蓋を開けてみると、①、②は既に成り立たなくなっている。なぜなら自動車以外のところで、大きなネガティブ・サプライズが発生しているからである。図3Bが示すように、自動車(緑)のサプライズは既に減り始めている。むしろ、末端の2月調査において、大きくサプライズが出ているのは、電気機械(灰)、生産用機械(青)、電子部品デバイス(黄)の3つだ。

前2者は最近の国内設備投資の弱含みを反映し、電子部品デバイスは1月まで発表されている台湾でも既に減産に転換していることから(図6J、6L)、グローバルなスピード調整に差し掛かった可能性がある。いわばダイハツは煙幕に過ぎず、2-3月も左記事のようにマイナス幅を取り戻すどころか、実際は図2A赤線のような漸減になりかねない状況である。

前述の③だけはまだ成り立っているかも知れない。図4Aが下がったのは、ウェイトの大きい日本の巨大マイナスが主因である(図5頁)。とは言え海外も半好況ではあるので、牽引力に期待するとしても程々にしておくべきであろう。