藻谷 俊介

2021年2月26日2 分

鉱工業生産 1月分

あっさり増えたことになっているが、当社季調と比べて(図2B)、あるいは前年同月比で-5.8%に悪化していることからも分かるように、これは経産省季調のミスである。毎度の話であるが、経産省季調が春節を補正していないことが原因だ。日本の生産に春節の影響が大きく出るようになったのは最近のことではない。

今年は2月、去年は主に1月に春節休みがあった。つまり何もしなければ去年の1月は低く、今年の1月は高く出る。それでも前年同月比で-5.8%なのだから今回は相当悪い結果である。しかし、経産省季調では右図のごとく突出しているわけだ。もちろん経産省の数値においてこの反作用は2月に出ることになるわけだが。

春節を補正している当社の季調で見ると、残念ながら足元、そして目先の推移は図2Aのように芳しくない。その背景として図3Aの急落があり、これは前回の1月上旬の調査から今回の2月上旬の調査の間に緊急事態宣言が出され、各社が生産計画を下方修正した結果である。図2Aも底割れ的な悪化ではないし、緊急事態宣言もいずれ終わるので、中期的には何の心配もしていないが、少なくとも右図のように緊急事態宣言下で大幅増産になったのではないことだけは認識しておきたい。

5頁の国際比較では、日本は経産省季調であるにもかかわらず今のところ最下位。世界生産(図4A)は結構な勢いで上昇している。