藻谷 俊介

2021年12月28日1 分

鉱工業生産 11月分

生産が大幅に上昇し、当冊子のキーチャートである図2Aの予測は、逆に弱含んだ。この解釈が難しい。

確かに予測以上に戻りすぎたと言うだけかも知れない。図Aは青い実績の部分がかなり上昇し、その反動の形で12-1月予測の赤線は頭打ちになっている。予測値の水準そのものが、先月から低下したわけではないので、下方修正ではないと強気を維持することはできる。

一方で、下がったこと自体が現実としての需要の力不足を反映していると考えることもできる。特に、急回復した輸送機械の12-1月の予測が低いこと(図3K)は問題だ。もし半導体不足や東南アジアの工場停止(サプライチェーン)だけが問題で、お客が列をなして待っているのなら、こんな生産水準では済まないはずだから。図3Kの点々の流れは、筆者が指摘してきたように、もっと昔からの需要減退を示している可能性もある。生産減は供給問題か、需要問題か、と言う線の引きにくい難問に再び直面しているわけである。ただ、需要問題が優勢である可能性は、在庫の高止まりにも(図2J~K)、上に戻りきれない在庫回転図(図2E~G)にも表れている。

今月のデータだけではっきりと言うことはできないが、生産の上昇は緩慢なものに留まる可能性も議論しておく必要があると考える。