藻谷 俊介

2021年11月30日1 分

鉱工業生産 10月分

低水準かも知れないが、これが不況入りかどうかが論点だとするなら、僅かであれ10月の上昇は救いである(図2B)。その上、11-12月の短期予測も含めると、むしろ景気は不況どころか持ち直す可能性が高くなっている(図2A)。在庫の急増も続かなかった(図2J~K)。

先月の当冊子では、「不況が来たという認識は持てないままでいる。なぜなら悪化が加速してストンと落ちていかないからである。」と述べた。その後の、Weekly Economics 中国統計ウォッチでは、中国の経済指標にも一部底入れが見られ始めたことに触れた。今日の日本の鉱工業生産統計は、それと軌を一にしており、予想通りの展開になってきたことを示唆している。

そればかりか10月は世界鉱工業生産も末端が上昇している(図4A)。日中だけではなく、多くの国で末端が上昇していることから見ても、決してまぐれ当たりではないように思われる(図5頁)。

自動車が反発する一方で、ハイテクは引き続き減産モード(6頁)。一部に半導体不足があるとしても、全体としては過多なのである。次はこの辺の変化に注目したい。