別府 浩一郎

2023年1月11日2 分

足元では落ち着く信用リスク指標など

高インフレ・高金利政策の下、世界的な景気悪化が強く懸念されているが、今のところソブリンCDS保証料率においては落ち着いた動きが続いている。その中でも、中国の保証料率が最近1週間ほどで下げ足を速めている。ゼロコロナ政策からの180度の転換がもたらす混乱より、今後の経済面でのプラス効果を評価しているためと見做すことが出来る。米国株の変動性を示すVIX(恐怖指数)は、11月以降の重要経済指標、FOMCを経る中、概ねフラットな動き。今週発表の12月CPIがよほど想定外の数値でない限り、この傾向は続きそうだ。

米国の消費者、企業に対する調査を物価絡みの部分を中心に見ておこう。NY連銀による消費者予想サーベイでは、今後1年のインフレ予想が沈静化。直近12月は21年9月以来の低水準となった。家賃、医療サービスなどは高止まりも、世帯支出増の勢いは鈍化し、結果、資金繰り感が改善することを期待している。ISM指数は製造業、非製造業とも悪化。しかし、それを嫌気するより、単に金利軟化要因と解釈された。ここでは製造業における仕入価格指数の大幅低下が目立つ。中小企業楽観度指数は引き続き極めて低調。ここでは今後3ヵ月の販売価格引き上げの動きが失速している。

ユーロ圏総合景況感指数(ESI)は11月、12月、2ヵ月連続で小幅改善。消費者信頼感指数は3ヵ月連続で改善している。今後1年の物価DIが大幅に低下。それが信頼感指数の構成要素である今後1年経済全般DI、今後1年家計資金繰りDIの改善に繋がっている。現実の物価はエネルギー価格以外は上昇傾向が根強い。