別府 浩一郎

2022年3月21日2 分

超緩和相場の名残り

VIX(恐怖指数)は、日中の高値も含めると、ロシアによるウムライナ侵攻開始日の2月24日、ザポリージャ原発を制圧した3月4日からほどない3月8日を2つのピークとして大きく低下している。3月8日はウクライナ侵攻を契機とする商品相場の暴騰が当面のピークを付けた日付でもある。これらが、「ウクライナ侵攻でも世界経済は極端な悪化とはならない」、「プーチンは核使用までは踏み切らない」ということを示唆しているのであれば、これほど喜ばしいことはない。筆者自身はウクライナ戦争の今後に楽観するだけの根拠を持ち得ない。

米S&P Dow Jones Indices社によるS&P500種EPS予想も楽観的だ。3月16日時点で、2022年8.2%増、2023年9.4%増を見込んでいる。しかも、ヘルスケア、エネルギーは2023年が減益予想と、ワクチン特需一巡、商品市況の上昇一巡が示唆されている。株式相場の戻りの理由として、「まだ超緩和相場の名残りの中に居る」ということもあるかも知れない。FRBのタカ派姿勢は第一義的には高インフレの抑制が目的だが、同時に、資産価格の行き過ぎた上昇スピード(第5頁下段の「家計純資産/個人可処分所得」参照)を均すこともあるはずだ。その効果は現時点ではまだ弱いということだろう。

消費者庁「物価モニター調査」3月調査は3月3日~7日に実施された。「1年後の期待物価上昇率」速報値は2.67%。2月調査以降、上昇傾向に一段と弾みが付いている。