藻谷 俊介

2023年7月20日2 分

貿易統計 6月分

◆ 5月も日本の輸出数量は着実に伸びて(図2A)、その勢いも過去の好況期と比べて遜色ない(図2H)。

◆ 11頁で仕向地別に見ると、アメリカ向けは小休止になる一方で、中国向け、EU向けの回復が年率2桁と著しい。中国向けは昨年まで大きく下がっていた故に強いのも不思議ではないが、前年比での報道ではマイナスが印象付けられて、回復が伝わってこないのが残念だ。

◆ NIES、ASEAN向け輸出数量は発表が遅く、まだ5月まで(図11D~E)。そして5月も下がって終わっている。ただ、6月まで入ったアジア全体がついに反発し(図11B)、同じく6月まで入った金額が反発していることから(図3G~H)、ようやく底を入れたと考えられる。

◆ G17世界輸出数量も概ね回復を続けている(図3B)。ただし上述の日本単体と違って、過去の好況期の勢いは回復してない(図3D)。輸出価格の反動減による名目金額でのマイナスが印象を更に悪くしているが(図3A)、数量での回復は維持されているので、景気悲観論を言うべきタイミングではない。

◆ 来月は再び赤字に戻ると思われるので、単月でのわずかな貿易黒字(左図)をニュースにする特別な意味はないが、季節調整ベースではもっと早く昨年8~10月から貿易赤字は着実に減っており(図3M)、むしろ報道が今年に入ってからもやたら赤字を強調してきたことの方に問題があった。

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