藻谷 俊介

2021年6月17日1 分

貿易統計 5月分

5月の輸出数量は、3~4月の流れを引き継ぎ、3極すべてに対して増加した(図2E、図2A青線)。ただし、その勢いは逐次低下している。

輸入数量は微減(図2B青線)。EUからだけがプラスだった(図2F)。とは言えこれもトレンドは結構な右上がりと考えられる。

好調なのは良いが、やはり輸出の減速には配慮する必要がある。昨日の日経には「国内景気支える外需、半導体不足なお懸念」という記事もあるが、筆者は「支えてきた」と過去形にすべきように思える。これまでも述べてきたように、中国の景気減速(図11C)が理由その1、米国向け自動車輸出の低迷(図10B)が理由その2である。米国以外への自動車輸出は低迷していないので、車載半導体不足とは関係あるまい。

そして理由その3が、5月のG17世界輸出数量の落ち込みだ(図3B)。世界鉱工業生産の伸びは4月までにかなり鈍化しており、もはやコロナ後のV字回復は完全に終わっているが、その背後では輸出数量も旧来のトレンドに戻ってしまっているわけだ。コロナが終わってバラ色と言うよりは、コロナが終われば元の平凡な世界が待っているだけなことを覚悟すべきなのかも知れない。