藻谷 俊介

2023年4月26日2 分

貿易統計 3月分

先月号で予想した通り、日本の輸出数量は3月にプラスに転じた(図2A青線)。内閣府季調(同赤線)の2月の反発は春節を調整していないためのものであり、3月には反動減が出てしまったが、それでも2番底にはなっておらず、背後の底入れを仄めかすものである。図2A自体はまだ弱々しい底入れだが、世界的な兆候と重なっており(図3A~C)、本物である可能性が高い。

地域別では、アメリカ、次いで中国での反発が先行し、欧州はまだ低下している(11頁)。また、数量指数が存在しないものの、金額では中東向けを中心とした「その他」向けが一番はっきりと回復していることから(図3L)、もし数量指数があったならここが最も伸びていたことだろう。伝え聞くドバイ経済の活況などは、日本にも少なくない恩恵をもたらしているわけだ(その他も金額で米、中に匹敵する)。

読者もご承知の通り、筆者はかねがねシリコン・サイクルの反転に期待をかけているが、先に功労者となったのは自動車だった。図4Eの額面でも顕著に増加しているが、単なる価格効果ではなく、台数でもほとんどの極に対して偽りなく伸びている(10頁)。世界的にも販売台数は反転上昇しており(図10L)、対中部品輸出の反発にもその片鱗が見られる(図10K青線)。シリコンもそろそろであるとは言えるが(図11K~L)、まだ自動車ほど目覚ましくはない。ただ、いずれそろい踏みになれば、貿易統計は一段と強く回復することになるだろう。3月はその最初の一歩だ。

(グラフの視認性改善のために発行が遅れ、申し訳ございません。)

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