藻谷 俊介

2月22日1 分

貿易統計 1月分

12月に多少切り返して転落を回避したように見えた輸出数量だが、1月は底割れしてしまって、改めて腰折れの現実を見せつけている(図2A青線)。単月では地震という特殊事情はあるにせよ、流れとして悪いことは否定できない。

11頁で仕向地別の輸出数量を見ると、12月に突出したアメリカ向けが1月は急落。12月に前倒しが合ったと考えて、両者を均せば、10月の水準辺りで凡そ横ばいと見える。中国向けも概略横ばいで、アジア全体も底ばいなので、NIESやASEANも下げ止まったのだろうか。EU向けも12月の急増から1月は急落したが、アメリカのような新低値ではない。このように中身を見ると底堅くはなっているように思う。

左グラフに一年周期で下振れが出ていることが示すように、1月は季節性の貿易赤字が出る月なので、季節調整せずに嘆いても仕方ない。季節調整すれば、むしろ赤字は小さかった(財務省の原始的な季調では黒字)ことになる(図3M)。ただしこれは輸出が伸びたからではなく、輸出入とも減る中で、輸入の減り具合の方が大きかっただけである(図2D末端)。

まだ初期数値だが、1月は世界輸出数量も減少(図3B)。日本のマイナスが貢献している(図16頁)。ただし図3Bのトレンドはまだ右上がりと思われ、こうした世界のファンダメンタルズからは日本も悲観する理由はないと考えている。