藻谷 俊介

2023年2月17日1 分

貿易統計 1月分

1月も、輸出数量は一段と低下した(図2A青線)。右記事では対中輸出にその責めが向かっているが、実際はアジア、欧米を問わず一様に悪化している(図3E~K、11頁)。ここに至っては世界規模での貿易調整と言うべきである。

ただし、3頁において金額ベースできれいに山型になったのは、その前に円安とインフレによって円貨金額が膨れ上がったからでもある。日本の場合は輸出数量もここ1-2か月で急低下しているので、足元の調整は間違いないが、価格と数量が相互に大きく変動したためどの程度のダメージと判断するべきかが難しい。

一方で、世界輸出数量指数は、意外に強かな動きをしている(図3B)。ただし、アメリカの輸出物価指数をデフレータに使っているため、これも的確に実質化できているかに一抹の不安がある。オランダCPBが12~1月にどう出てくるかも含めて、数値の確度を上げていく時間が欲しい。

日経は貿易赤字が過去最高(右グラフ)と報道しているが、1月はマイナスが大きくなる月なので、そのまま比べても意味がない。季節調整ベースでは赤字はすでに減少局面に入っており(図3M)、競争力低下と赤字垂れ流しの没落ルートからは一旦離れ始めている。