藻谷 俊介

1月25日2 分

貿易統計 12月分

先月までの輸出数量は腰折れと言うしかない状態で、唖然としたが、12月は多少切り返して転落を回避した(図2A青線)。内閣府季調では急激な改善に見えるが(同赤線)、来月は反動減が確実な大ぶれであり、現実的には当社季調の青線で考えて頂ければと思う。

11頁で仕向地別の輸出数量を見ると、12月は中国向けは概略横ばいで、その他アジアを含めると大きなマイナス、アメリカ向けの急増とEU向けの反発がそれを打ち消して多少お釣りがあったというところである。中国向けもドルベースで揃えた時の出遅れ感が、少しばかり解消した(図11M)。それにしても中国以外のアジアが乗ってこない。

と言うことで、輸出は悪くなったところから少し戻したと言うのが現状なのに、左記事の勝ち気と言ったら。半導体不足解消で昨年から自動車の輸出が急増したような言説もイメージに過ぎず、台数で見れば図10Aのように回復は一昨年から一定ペースで続いており、しかも今の水準は過去と比べて特に秀でたところはない。結局、円安によって円ベースの売上が過去最高というだけの話である。季調で正しく見れば貿易赤字解消の目処も立たず(図3M)、日本は貧しくなっている。

まだ初期数値だが、世界輸出数量(図3B)は続伸して、速度計(図3D)でも好況期並みになってきた。中国以外のアジアへの依存度が高いために、日本は苦労しているが、世界のファンダメンタルズからは悲観する理由はないと考えている。