藻谷 俊介

2022年12月20日1 分

貿易統計 11月分

11月は、輸出数量、輸入数量ともに一段と低下した(図2A~B青線)。先々月から書いてきたとおり、通商活動は調整期に入っていることが改めて確認された。グラフが示すように、昨年以降このように下がった経験はあるので、いわゆる不況入りという判断にはならないが、どちらのグラフも何とも言えず無気力である。

11頁の諸グラフを見ると、日本の輸出数量は対米、対中で大きく下がっているが、対EUだけは意外に持ち堪えている。実は日本に限らずEUへの輸出(EUの輸入数量)はじわじわと増える傾向にあり、筆者のEU経済は危ないのではないかという懸念は、現実化していない。

世界全体としても輸出額は減少が続き(図3A)、輸出数量指数も11月は底ばい(図3B)。かなりぎりぎりのところで、それでも悪循環にはなっていないようである。

右記事の貿易赤字に関しては、季節調整ベースでないのでどれ程の異常事態であるかが分からないわけだが、図3Mで当社季調のグラフを見て頂ければ、今月は赤字減少で、これ以上下がらない感じも強くなっている。確かに赤字は問題ではあるが、元図の図2Dを見れば輸入額の減少は始まっており、後は待つしかない。