別府 浩一郎

2020年10月18日1 分

調整含みの米株200日線からの乖離率

当レポートでは、米国広義IT関連株の上昇を「ITバブル時より遥かに穏当で、利益の伸びに裏付けられたもの」として来た。現在もその見方を根本的に変えるものではないが、S&P500種時価総額に占める比率の40%超えで当面の達成感は出つつある。なお、VISA、Mastercard、PapyPal Hld.などの比率が約4%あり、これらを金融セクターに含めると同セクターの極端な落ち込みは相当程度解消する。

Nasdaq指数の200日線からの乖離率は9月2日に29.0%に達し、この面でも現在は調整過程にあると見て良さそうだ。ITバブル時のような50%超えの熱狂からは遠い。狭義のITセクター株価指数では9月2日の乖離率は31.7%。「ほぼAmazon指数」と言うべきインターネット販売株価指数では9月2日の乖離率は49.5%に達した。これまで、200日線からの乖離率は高いピークと浅めのボトムをほぼ周期的に繰り返し、株価は長期的には天文学的上昇を遂げた。

近年では「バブル」という言葉が安易に使われるが、真のバブルであれば必ず崩壊し、株価の下落率は経験則上80%以上に達する。本邦金融バブル後の邦銀株、ITバブル崩壊時の米IT株、サブプライム危機時の米銀株がその例だ。米国広義IT関連株が、今、そのような可能性に直面しているとは到底思えない。もちろん、米国大統領選後に極度の政治混乱に陥れば、IT関連に限らず悪影響は免れない。