別府 浩一郎

2021年10月25日2 分

菅氏の置き土産

新型コロナウイルスの新規感染者数激減に関しては、既に忘却の彼方となってしまった菅前首相に感謝すべきだろう。高齢者以外のワクチン2回接種率が8月央の15%から50%超へと上昇して行った(数値は日次でデータが取れる一般接種分)効果は大きい。惜しむらくは、五輪開催国としてあと1ヵ月でも前倒しで進めたならば、感染第5波の巨大化を防ぎ、菅続投も有り得たかも知れない。筆者が菅続投を望んだということでは全くないが。

東京都は「戦略的検査強化事業」として繁華街等でのモニタリング検査を行っている。本年4月1日から5月1日はその間の合計値。それ以降は週次で結果が発表されている。10月17日に終わる週の検査陽性率を人口10万人あたりに換算すると32.8人となり、日々報告値に基づく値3.0人とは大きな開きがある。ただ、最大値726.6人からは22分の1であり、医療の逼迫度合いが現実に大幅に減じていることを鑑みれば、日々報告値とのギャップを重大視する必要はないかも知れない。もちろん、モニタリング検査の陽性率の動向を注視して行くことは必要だ。

日銀はコロナ禍で金融機関の貸出を後押しすることで、企業の資金繰りに資する政策を強力に実施。その効果もあり、倒産件数は今7-9月で1500件弱という異例の低水準に留まっている。ただ、それ以前も歴史的に見れば低い1四半期2000件程度で推移している。しかし、もし「健全な新陳代謝」が行われているならば、3000件程度はあってもおかしくない。