別府 浩一郎

2023年5月14日2 分

米家計の党派別景況感格差が拡大

先週発表された日米の景況感指標は明暗が分かれた。内閣府「景気ウォッチャー調査」4月調査の現状判断DIは原数値、季調値とも3ヵ月連続改善。先行き判断DIは原数値で4ヵ月連続、季調値では5ヵ月連続改善した。以前のコロナ禍での改善と比べ、最近は現状水準DIの改善も十分伴っている。ただし、判断DIはここから更に大幅に上振れるほどの勢いは無く、当面、高原状態が予想される。

一方、米国中小企業楽観度指数は2ヵ月連続悪化し、今4月は13年1月以来の水準まで落ち込んだ。今後3ヵ月を「事業拡大の好機」とする比率は本年3月に2%と、リーマン・ショック後の09年3月と並ぶ過去最低を記録。4月も3%と極端な落ち込みが続く。ミシガン大調べ消費者センチメント指数も5月速報値が前月比5.8ポイント悪化。本年2月までの改善の勢いが失われている。当週報4月16日付号では民主党支持層と共和党支持層との景況感ギャップに注目したが、5月速報値ではそれが更に拡大した。具体的には、現状指数は民主党支持層 82.4(前月比0.9ポイント改善)、共和党支持層50.7(同7.2ポイント悪化)、先行き指数は民主党支持層75.4(同4.2ポイント悪化)、共和党支持層33.3(同8.5ポイント悪化)である。共和党支持層の景況感の悪さは、中小企業楽観度指数の低調さと重なる部分がある。5月2日付日経新聞に掲載されたThe Economistの記事が指摘するように、消費者心理調査の数字を鵜呑みにすることは必ずしも適切ではない。個人消費支出はそれほど極端には悪化しない可能性も高い。ただ、米国における著しい分断は的確に映し出されていると言って良いだろう。