別府 浩一郎

2022年5月9日2 分

極端な低迷続く米中小企業マインド

日本政策金融公庫総研による三大都市圏「中小企業景況調査」4月調査では、売上実績DIは0近辺での動きから抜け出せていないものの、売上見通しDIは前月比8.7ポイント上昇の10.8と、行動制限解除の効果への期待が表れた。従業員判断DIも「不足」超幅を広げた。一方で、仕入価格DIが4月は72.8に達したのに対し、販売価格DIは28.8に留まる。資金繰り判断DIは21年5月11.2を直近ピークに、緩やかな低下が続いている。

米国中小企業サーベイでは、販売価格実績DIは3月72、4月70と高水準が続く(当DIは3ヵ月前との価格変化を見たもの。上述の日本は前月比)。売上見通しDIは3月に前月比12ポイント低下の-18へ急落。4月は-12で6ポイント戻した。しかし、筆者が最重要視する経済全般見通しDIは1ポイント低下の-50。「事業拡大の好機」と考える企業の比率は4%と、いずれも極めて低水準。雇用計画DIも21年8月32をピークに、「増加」超幅が徐々に縮小している。4月の米国平均時給は全体で前年比5.5%増。レジャー・接客は11.0%増、運輸・倉庫業は7.1%増。管理職を除くベースでは順に6.4%増、12.6%増、11.2%増だ。人材獲得競争の負担は中小企業にとってとりわけ重いことは間違いない。

相対的には圧倒的に有利な立場にあるはずの米巨大企業にとっても高インフレは逆風となっていることがS&P500種EPS予想で窺える。四半期決算発表が進むに連れ、主要セクターで軒並み、22年予想のみならず23年予想も下振れないし頭打ちの動きだ。エネルギーと素材は例外的に上振れているが、S&P500種時価総額に占める比率は前者が4.6%、後者は2.8%に過ぎない(先週末現在)。

<今週の参考図表>

■三大都市圏中小企業の各種DI

■米国中小企業楽観度指数と内訳(その1)

■米国中小企業楽観度指数と内訳(その2)

■米国平均時給、自発的離職件数・離職率

■S&P 500 EPS:セクター別予想修正状況