別府 浩一郎

2020年12月28日1 分

業況サイクル-2010年と現在

パンデミックに見舞われた本年はどの国も政府債務の膨張を余儀なくされた。グラフは第2四半期時点であり、その後、更に膨張しているだろう。しかし、ソブリンCDS保証料率は正に足元でパンデミック下での最低値を記録している。イギリスでの変異種感染拡大を理由に、先週初め、30ポイント台まで上昇したVIX(恐怖指数)も、週末には21ポイントに舞い戻った。トランプ大統領の追加経済対策への署名拒否にも殆ど反応せず、その後の署名を見透かしていた。

「日銀短観」業況判断DIに基づく業況サイクルは、本年6月調査で「陰の極」を形成。9月調査では縦軸方向(サプライズ)で大きく改善。次いで、今回12月調査では横軸方向(DI実績値)での改善を本格化させた。次回21年3月は大企業製造業の場合、10年6月の位置(横軸1、縦軸9)が意識される。10年6月以後は欧州財政不安で失速した。今回、ソブリンCDS保証料率は、現時点では上に見た状況だ。一方、年末年始後の感染拡大が極端なものになれば、非製造業中心に回復に一旦ブレーキが掛かることは有り得る。また、政治的安定性は揺らぎ始めている。

TOPIXは18年1月高値とコロナ前高値の間に位置しており売り買いが交錯しやすい。資本財と一般消費財という日本株の中核セクターが正にその位置にある。