別府 浩一郎

2021年11月15日2 分

株価、雇用動向とマインドのねじれ

先週水曜発表の米国10月CPIの大幅上昇を受け、FF金利先物清算価格に基づいて算出したFF金利予想カーブは大きく上振れた。一方、長期金利への影響は限定的で、米国株も先週末、ハイテク中心に早々と買い直しの動きとなった。例外的に相対株価の下げが目立つ情報処理・外注サービスはハイテクというより金融。主要銘柄はVisa、Mastercard、PayPal Hldで、今夏以降、PayPal Hldの下げが特に足を引っ張っている。

堅調そのものの米国株とは裏腹に、ミシガン大調べ米国消費者センチメント指数11月速報値は前月比4.9ポイント低下の66.8と、11年11月63.7以来の最低水準。米国中小企業楽観度指数の内訳である「今後半年の経済全般見通し」DIも、10月に前月比4ポイント低下の-37と、12年11月-38以来の最低水準に落ち込んだ。米家計や米中小企業経営者のこのようなセンチメントが、今月のバージニア州知事選において当初劣勢だった共和党候補の勝利に繋がった。

前述の米国中小企業サーベイで、人手不足感は9月ピークからはごくわずかに後退したものの、引き続き歴史的高水準にあり、賃金は引き上げざるを得ない。「求人労働異動調査」9月調査で雇用市場の強さのバロメーターとされる自発的離職件数が増加していることとも整合する。我が国の内閣府「景気ウォッチャー調査」10月調査でも、雇用動向の現状、先行き、現状水準の各DIが足並みを揃えて改善、現状水準DIもプラス圏入りした。