藻谷 俊介

2月26日2 分

月例中国統計ウォッチ 1月分

ほとんど季節調整されていない中国の統計を、春節補正の季節調整ベースで並べて観察するのが月例中国統計ウォッチである。先月号ではストック面の悪化が再燃し、筆者が期待していた回復速度より少し下を見る必要性に触れた。

2月は多くの統計が発表されない月であり、総合的な判断はできかねるが、発表されている部分で見れば、自動車以外に大きなマイナスは見られない。なお、★のついたグラフが前号以降に更新されている(部分的更新を含む)。

インフラ系も基本的には底堅い

先月号で弱さが再燃したインフラ系の統計だが、今月は底堅さを見せた。住宅価格を示す図22~23は、末端の1月を見ると、横ばうか下落速度を落としている。

これは同様に不動産開発に絡む統計であるKOMTRAX(コマツ建機稼働率、図25)も同じで、12月は急落して落胆を誘ったが、1月は続落せずに反発した。

政府の金融緩和の成否を示すとも言える社会融資規模(図21)も、月次季調値の灰線を見ると末端1月は増えている。トレンド線(赤線)の勾配も増しており、金融面からのサポートがインフラ系統計を底堅くしていることが窺える。

金融緩和という点では、企業センチメントが、製造業、非製造業ともに多少反発しているのも、1月の特徴である(図15~16)。このように、先月の悪化が続いていないことは、十分に認識すべきだろう。

自動車の悪化には首を傾げる

1月の中国にはそんな落ち着いた統計が多い中で、唯一急落して筆者を驚かせたのが、自動車販売である(図12青線)。

この統計に春節補正で季節調整をかけている機関は、当社ぐらいかも知れないので、多くの市場参加者はそもそもこんなマイナスに気づいていない公算が高い。しかし、様々に季調パラメータを変えても、結構なマイナスは残る上、実は日米も同様に大きなマイナスになっているのである(同赤線、黄線)。日本は地震やダイハツのせいにもできようが、なぜ米中もそうなのかは筆者には分からない。来月の動きに注目だ。

離陸したかと思えば下がる中国のインフラ系の数値だが、上記の通り底堅くなっている。来月の変化に期待する。