藻谷 俊介

2021年10月7日1 分

景気動向指数 8月分

先行CI、一致CI、遅行CIの平均である8月の「総合CI」は、前月比-1.9%の96.0であった(図2A赤線)。7月は0.4ポイント上方修正されて97.9となっている。TOPIXなど相場2系列を除くベースでも-1.9%とマイナスだったが(図2A青線)、そこからぶれの大きい鉱工業生産系の7系列を除くと-0.6%と1/3になった(図2A黄線)。四半期平均でも、赤線、青線は昨夏以降で初めてマイナスとなったが、鉱工業生産系を除く黄線だけは、まだ少し伸びている(図2B)。

先月まで述べてきたように、月々のアップダウンはコロナの感染に応じて人流が制限されたり、解除されたりしたことで凡そ説明できるが、重要なのはトレンドの変化である。先月までは、景気は伸び悩み、頭が重いなどの表現を使ってきたが、今月は微妙だ。特に右図→だけに判断を頼ると、景気のピークアウトに見えてしまう。

ただ、ここは筆者の原則に忠実に、図2A黄線で判断することにすれば、景気はまだピークアウトはしていないと言える。短観はじめ新しい多くの指標が徐々に怪しい水準に近づいている上、「意図せざる」サプライズも出てきており、中国経済に端を発した世界的な景気サイクルの鈍化に日本も振り回され始めているのは間違いない。予断なく事態の変化に対応していくしかないと考えている。