藻谷 俊介

2021年6月9日1 分

景気動向指数 4月分

先行CI、一致CI、遅行CIの平均である4月の「総合CI」は、前月比+1.2%の97.4であった(図2A赤線)。3月は0.2ポイント下方修正されて96.3となっている。TOPIXなど相場2系列を除くベースでも+1.2%と変わらなかったが(図2A青線)、そこからぶれの大きい鉱工業生産系の7系列を除くとプラス幅は同+0.4%と縮小した(図2A黄線)。多くの系列が寄与して3.1%も伸びた3月から大きく減速したが、まさに先月号で予想した通りであった。

コロナをきっかけに定点観測するようになった都営地下鉄乗車率やGoogle Mobilityなどの活動レベル指数は、3月対比4月は微減で、5月はそこから更に減っている。このことから5月も厳しい状況が続くと考えられるが、それについては読者にも違和感はないだろう。

とまれこの4月で一致CIはついに昨年1月の水準を上回り(右図)、世界平均に比べて時間は要したが、15ヶ月でコロナの谷を乗り越えることはできた。総合CIについても同様である(図2A)。ただマクロ統計は勝ち組と負け組の平均の話であるので、内部の格差は大きく、まだひどく苦しんでいるセクターもある。また、先月も述べたように、コロナ前の「消費増税」、「トランプ貿易戦争」の大きなマイナスについてはまだ残っており、前回のピークまでは相当の距離がある。まだ伸びる余地はあると考えたい。