藻谷 俊介

2021年12月9日1 分

景気動向指数 10月分

先行CI、一致CI、遅行CIの平均である10月の「総合CI」は、前月比+1.0%の95.1であった(図2A赤線)。9月は0.1ポイント上方修正されて94.1となっている。TOPIXなど相場2系列を除くベースでも+1.0%だったが(図2A青線)、そこからぶれの大きい鉱工業生産系の7系列を除くと+0.4%へ縮小した(図2A黄線)。

ただ、いずれにしてもWeekly Economicsで述べたように、崖から落ちたが途中の茂みに引っかかって止まったような線形である。

先月号では、筆者が景気動向指数で最重視している、四半期で見た図2B黄線が下がるようで下がらないことを理由に、まだ景気後退宣言は出さないと述べた。それは的確な判断だったようで、今月は一致CIが下げ止まり(右図)、先行CIははっきり上昇(図2J)、遅行CIは大きく下がらない展開になった(図2L)。

オミクロン型は未知の脅威ではあるが、慌てて厳格な空路ロックダウンを打ち出し、すぐに修正したのは日本くらいで、多くの国は再びの行動規制に慎重である。Weekly Economicsで書いてきた通り、飲み薬の治療薬(ワクチンと異なり、作用機序から言って変異には影響されない)の上市も続いており、もはや最初に戻るような思考をするべき時代ではない。鉱工業生産指数の予測ラインに従い、9月を底にして景気が戻っていくのを標準シナリオとすべきだろう。