藻谷 俊介

2022年4月1日2 分

日銀短観 3月調査

最終更新: 2月4日

別府式サイクルチャート(動作原理は次頁下のダイヤグラム参照)は、大企業製造業(図B)も、全規模全産業(図A)も、屈折して左下方向に向かった。これは図Cにおける震災の時と類似した現象と考えられ、景気の一般的な転換ではなく、事象的なショックに基づいて一時的に「悪く」かつ「思ったよりも悪い」方向に向かったものだろう。もちろん考えられる原因はウクライナ侵攻である。

東日本大震災のショックは、今回のショックよりも深く谷を剔ったが、戻りも速く、図Cに針のような痕跡を留めるだけである。ロシア制裁で実体的なインフレの影響もあるので、今回は図Cのように鋭く元に戻ることはないかも知れないが、このままサイクルチャートが時計回りを続けて不況入りというパターンではない。なぜなら図Aは右へ行き切れていないし、不況なら左方向への移動もあるので角度がより浅くなるからである。今回のはやはり震災パターンに近く、次回は多少なりとも上方向に戻ると筆者は考えている。

概要冊子(https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2203.pdf)の3~5頁で2021年度売上、利益の修正幅を見ると、3ヶ月前よりほとんどが上方修正されている。下方修正は大企業製造業内需の売上だけであるが、これは前回の上方修正が強すぎたためか、あるいはオミクロンの影響だろう。サイクルチャートに表れるセンチメントはショック的な悪化を示したが、実数系のデータは悪くなかったわけである。回復を期待しながら6月調査を待つことにする。