別府 浩一郎

2023年5月8日2 分

改めて広がる所得によるマインド格差

(都合により、アップロードが大幅に遅れましたことをお詫び申し上げます)

金融機関の相次ぐ破綻後としては最初の米国、ユーロ圏の銀行貸出調査では、既に大きかった融資基準DIの「厳しい」超幅が小幅に増した。ユーロ圏の住宅ローン向け同DIは逆に軟化。米国の住宅ローンの資金需要DIは「減少」超幅が縮小という動きもあった。ただ、全体としては米国における貸出情勢の厳しさが再認識された形だ。それ以上に米国株式市場を金縛り状態にしているのが、連邦債務上限引き上げ問題だろう。

ユーロ圏の主要信頼感指数に目を転じると、製造業が弱含む一方で、サービス業は安定、消費者は昨年9月ボトム以降の改善傾向が続いた。消費者信頼感指数に関しては、今後1年の経済全般見通し、今後1年の家計の資金繰り見通しが大幅に持ち直している。その背景にあるのが、今後1年物価見通しの沈静化である。エネルギーを含む全体物価の動きはそうした期待を誘うが、コア物価の上昇基調はむしろ足元で増している。ただでさえ大きい所得によるマインド格差が更に広がるかも知れない。

内閣府「消費動向調査」消費者態度指数は3月、4月に大きく持ち直した。周回遅れの経済再開効果に加え、「今後1年で10%以上」という物価上昇見通しが沈静化し、叩きのめされていた「暮らし向き」、「耐久財の買い時判断」が持ち直した。所得が高いほどマインドが良好であることは改めて言うまでもない。最後にOECD景気先行指数を掲載する。米国、ユーロ圏、日本の動きを比較されたい。