別府 浩一郎

2023年6月5日1 分

拡大する家計マインドの回復格差

米連邦債務の上限を25年1月まで停止する「財政責任法案」の上下両院での可決を受け、VIX(恐怖指数)は終値ベースで20年2月20日以来の水準まで低下した。コロナ不安もデフォルト不安も存在しなかった時点だ。上記法案の可決と5月雇用統計を受けた先週末のFF金利予想カーブは、年後半もう1回の利上げを見込む形状。また、本年末の水準は3月FOMC参加者の予想中央値とほぼ重なる。6月FOMCが大きな混乱をもたらす可能性も小さい。前号では5月24日のNVIDIA決算発表前の時点で、24年EPS予想(S&P DJI調べ)においてITセクターが優位となっていたことを見たが、直近のアップデートで「NVIDIA効果」が確認される。

先週発表された内閣府「消費動向調査」5月調査では、消費者態度指数の枠外である「資産価値の増え方」の改善が目立った。昨年11月ボトム以後の大幅上昇は最近の株価急騰を予見していたかのようである。ただし、同指標は近年、季調値が11月は低く、5月は高く出る。昨年11月から直近5月までの改善幅は季調値では9.0ポイント、原数値では5.9ポイントだ。同じ期間、消費者態度指数の改善幅は季調値で6.3ポイント、原数値で6.6ポイントとほぼ変わらない。相対的に所得が高い世帯では、「収入の増え方」、「雇用環境」、「資産価値の増え方」の各意識指標がほぼコロナ前の水準に復している。その裏側として低所得層の回復は遅れている。