別府 浩一郎

2021年10月12日1 分

感染者数激変の中での各種景況感調査

新型コロナウイルス新規感染者数が劇的に変化する中、各種景況感調査の結果にも調査時期の影響が表れた。9月25日から9月末までに行われた内閣府「景気ウォッチャー調査」9月調査では飲食関連、サービス関連中心に先行き判断DIが大幅に上振れた(第4・5頁)。9月15日が調査基準日の内閣府「消費動向調査」9月調査では、既に感染第5波のピークアウトが実感され、消費者態度指数(一般世帯・季調値)は8月0.8ポイント低下から9月1.1ポイント上昇に転じた。「資産価値の増え方」意識は8月0.4ポイント上昇、9月1.6ポイント上昇と一層上振れ。9月14日に本年高値を付けた株価の動きが影響。

四半期毎実施の日銀「生活意識に関するアンケート調査」9月調査は8月6日から9月1日に実施された。感染第5波が猖獗を極めた時期に当たる。「今後1年景況感」DIは本年3月の-8.5から6月-14.9、今回9月-19.8と後退した。一方、それ以外の多くのDIは「水面下で弱々しく」という言葉は付くものの、前回比で改善した。「今後1年収入」DIは3.0ポイント上昇の-24.0。「今後1年支出」DIは2.5ポイント上昇の-36.2。「長期の日本経済成長力」DIも前回比1.0ポイント上昇の-56.0だった。とはいえ、水準とトレンドの両面で本DIの停滞感は際立っている。超緩和をどれだけ継続しても上向くことは無い。そもそも、「日銀が積極的な金融緩和を行っていることを知っているか」との問いで、「知っている」の比率は今回21.8%に留まる。