別府 浩一郎

2021年9月8日2 分

感染拡大下の米ユ日8月家計マインドなど

デルタ株による感染拡大下、8月の米国非農業部門雇用者数は前月比23.5万人増に留まった。しかし、最広義失業率は前月比0.4ポイント低下、失業期間中央値も前月比0.5週低下。7月求人件数は前月比7.4%増の1093.4万件と過去最高。新規失業保険申請件数もコロナ禍後最低を更新している。手厚い給付の打ち切りは家計マインドにとってマイナスだが、雇用市場の底堅さを考慮すれば、8月に悪化した消費者信頼感指数が一段と冷え込むことにはなるまい。

ユーロ圏では8月の製造業、サービス業、消費者の信頼感指数がいずれも小幅悪化。消費者信頼感指数は2ヵ月連続悪化。現在の消費者信頼感指数の構成要素に含まれない「今後1年の失業懸念」も2ヵ月連続悪化だが、悪化幅は7月2.7ポイントに対し、8月は0.4ポイントと大幅縮小。また企業サイドの意向を示す雇用予想指数は7月0.1ポイント悪化、8月は逆に1.2ポイント改善した。このような総合的状況から、ECBは債券購入ペースの縮小を決定したと言えよう。

我が国の消費者態度指数、景気ウォッチャー判断DIも8月は悪化。ただ、日本株はチャート的煮詰まりと海外株対比での出遅れが際立っていた分、菅退陣を契機に上放れ。安倍が支持する高市のサナエノミクスのハチャメチャさを見る限り、「新政権による新たな経済対策」よりも「底堅い企業業績」で正当化する方がまだ筋が良い。