別府 浩一郎

2021年5月30日2 分

大幅改善した米家計の雇用現状認識

前回当週報では債券の変動性指数MOVEや、ソブリンCDSの落ち着いた動きを確認した。そうした流れの中、先週は米国債10年物利回りが1.6%以下へ低下。VIXも4月央に記録したコロナ禍での最低水準近くまで低下。先週末のS&P500指数4204ポイントは、過去最高値まで1%未満の位置にある。足元では勢いが鈍化しつつあるとは言え、先進国中では首位のワクチン接種完了率や、新規失業保険申請件数の減少が下支え役となっている。

米国雇用市場に関しては4月の雇用者数増加幅の少なさが失望されたが、3月実施のコロナ禍でも最大規模の家計支援策が招いたと一時的事態と見て良さそうだ。5月の雇用者数は相応の伸びを示すだろう。実際、米家計の雇用に関する現状認識は大きく改善している。Conference Board消費者信頼感指数の構成要素である雇用現状DIは、本年2月に1.4だったものが、3月以降、10.2、21.6、34.6と急上昇。コロナ禍前、昨年1月の35.3に迫った。通常、雇用現状DIは景気現状DIに遅行するものだが、今回は全く逆の形となっている。想定外の感染急拡大が無い限り、今後は景気現状DIが鞘寄せする動きとなる。

NY連銀が発表した本年3月末までの米家計債務残高は前年比2.4%増だった。クレジットカードローン残高が13.8%減で、全体の伸びを抑制。住宅ローン残高は前年比4.6%増。貸出額は頭打ち気味。新規延滞債権比率はどの債務種別でも低下しているが、パンデミック下での特例措置による。