別府 浩一郎

2022年10月29日2 分

大きく明暗分けた米中株価

先週、中国CSI300株価指数は5.4%下落し、2020年3月安値に限りなく迫った。10月10日付当週報で見たように、中国家計のマインドは2007年以降、明らかにダウントレンドにある。その大半が習近平の時代であるにもかかわらず、共産党大会を機に習一強体制が一段と強化されることへの懸念が、少なくとも株価面では噴き出している。課題である不動産市況のモメンタムは弱いままだ。テコ入れのための相次ぐ金利引き下げでも家計向け貸出残高の伸びは鈍化傾向が続いている。

S&P500株価指数は先週4.0%高で、中国株と明暗を分けた。皮肉にもこちらでは住宅市場に関する「悪いニュース」は、利上げ鈍化に繋がる「良いニュース」となる。住宅価格指数は頭打ちが明確となった。中古住宅販売は既に大きく減少しているが、その先行指標たる中古住宅仮契約指数は9月に前月比10.2%も急低下した。雇用現状DIも10月は前月比5.6ポイント低下。ただし、景気現状DIも6.3ポイント低下したため、大きなギャップは残る。一方、企業決算は「予想より悪くない」として歓迎された。実は、予想を上回った割合は低下している。それでも買われるのは、利上げ鈍化期待に加え、中核であるAppleが崩れないことの安心感もあるだろう。S&P500指数の52週騰落率も、ITバブル崩壊時、サブプライム危機時を別とすれば、歴史的低水準に到達している。ただ、前のめりに成り過ぎるのはどうかと思う。