藻谷 俊介

2023年11月8日1 分

労働関連統計 9月分

雇用人数 異なる統計の、往々にして異なる結論を、恣意性なしで単純な星取り表として考えるのがここでのポイント。雇用の絶対「数」の動向を示す図2B青線、図2D青線、そして図2Eの「雇用三羽ガラス」は、季調前月比で2勝1敗で、先月と同じ。うち1敗の求人数(図2D青線)も、減少傾向ではなく、底ばいの状態。

所得 きまって支給される1人あたり賃金は、実質でも昨年末から下げ止まりが続く中、9月は増加(図2H赤線)。ただ、特別に支払われた給与(図2J)の実質減少が続き、実質現金給与総額の反発は小さい(図2G)。これに雇用人数をかけて、企業の支払総額(家計の受取総額)にしたものが図2Kで、実質でも1月を底に上昇傾向にあり、物価高を家計総所得の上昇が上回っていることを示す。ここでは、帰属家賃を除くCPIではなく、通常のCPIで計算している。

時間 9月は景気一致指標である所定外労働時間のグラフが上昇(図3A)。総労働時間ももはや低下してはいない(図3B)。

全体的に8月より改善している。GDPの6割を占める消費の原資となる、図2K赤線の今後の動きがカギを握るが、決して左記事のような弱いものではないことは、強調してもしきれない。