藻谷 俊介

2021年9月10日1 分

労働関連統計 7月分

7月の労働環境は、広い範囲で改善した。

雇用(人数): 異なる統計の、往々にして異なる結論を、恣意性なしで単純な星取り表として考えるのがここでのポイント。雇用の絶対「数」の動向を示す図2B青線、図2D青線、そして図2Eの「雇用三羽ガラス」は、季調前月比で3勝0敗であった。

所得: 6月はボーナス減で凹んだが、7月は盛り返した。一人あたりきまって支給の賃金(図2H)、ボーナス・一時金がともに増えたので(図2J)、トータルの現金給与総額も増えた(図2G)。これに上昇した常用雇用指数(人数)を乗して企業支払い総額ベースにしたものも、当然増えている(図2K)。先月号で「ボーナス期を乗り越えれば再び上昇が始まると考えている」と予想した通りの展開である。

時間: 7月の所定外労働時間は上昇(図3A)。総労働時間も上昇した(図3B)。

7月の労働環境は、このように幅広く改善。緊急事態宣言とオリンピックによる休日増加で、向かい風が吹く月であったが、宣言慣れと自粛疲れで実効性が低下し、企業も後ろ向きな政策を採らなかったように見える。