藻谷 俊介

2023年7月16日1 分

労働関連統計 5月分

雇用人数 異なる統計の、往々にして異なる結論を、恣意性なしで単純な星取り表として考えるのがここでのポイント。雇用の絶対「数」の動向を示す図2B青線、図2D青線、そして図2Eの「雇用三羽ガラス」は季調前月比で1勝1敗1分で、先月の2勝1敗から後退した。ハローワークでの求人が減っている一方で、企業側統計ではパートの雇用が増えている。難しいところだが、失業率は底入れし、有効求人倍率が天井を打っていることから、あまり楽観的解釈はできない。

所得 リアルタイムで見ると、1人あたりの実質賃金は昨年末から下げ止まっており(図2G赤線)、それに雇用人数をかけて企業の支払総額にしたものは増加に転じて既に4か月になる(図2K赤線)。右記事は1年前と比べてのマイナスを論じているだけで、今も「実質賃金の減少が続く」ような印象を抱かせる文章が間違いであることは、これまでも述べてきた通り。

時間 5月は所定外労働時間、総労働時間ともに減少に歯止めがかかってきた印象(図3A~C)。

◆ 景気遅行指標である雇用人数は弱めだが、所得や労働時間には改善の片鱗が見られる。ここから景気を崩す要因になるとは思えない。