藻谷 俊介

2023年6月7日2 分

労働関連統計 4月分

4月も非正規のところを除けば、まずまず悪くない情勢。

雇用(人数): 異なる統計の、往々にして異なる結論を、恣意性なしで単純な星取り表として考えるのがここでのポイント。雇用の絶対「数」の動向を示す図2B青線、図2D青線、そして図2Eの「雇用三羽ガラス」は、季調前月比で3か月連続で2勝1敗となった。非正規の雇用調整はより厳しくなったが(図2D、2F青線)、正社員の増加(図2F赤線)はそれを打ち消して、全体としては雇用が増えている(図2E)。

所得: 一人当たり給与総額に頭数をかけて企業が支払った総額ベースにした図2Kで考えると、4月のリアルタイムの名目所得は年率4.3%で増加(青線)。毎月勤労統計で使われる帰属家賃を含まないインフレ率はリアルタイムで年率2.3%であるから(図3K)、差を取った年率2.0%が今現在の実質給与増加ペースとなっている(赤線)。前年同月比ゆえに遅行している右記事とは異なり、今年に入ったあたりからインフレは所得増でカバーできているわけだ。法人企業統計が示す名目人件費伸び率もリアルタイムで5.5%あるから、やはりインフレ率を上回っている(図3F)。ただし、電気ガス補助金の段差が抜けてからが本当の値になるので、5月のデータには注目したい。

時間: 4月は所定外労働時間、総労働時間ともに減少(図3A~C)。Weekly Economicsで述べたように4月はスピード調整が随所に見られたので、こうした景気に一致しやすい統計は短期的に影響を受けがちである。