藻谷 俊介

2月6日1 分

労働関連統計 12月分

■ 雇用人数 異なる統計の、往々にして異なる結論を、恣意性なしで単純な星取り表として考えるのがここでのポイント。雇用の絶対「数」の動向を示す図2B青線、図2D青線、そして図2Eの「雇用三羽ガラス」は、季調前月比で2勝1敗で、先月と並ぶ。図2D、2Fの青線が示しているように、趨勢としては非正規雇用が弱くなっている。

■ 所得 きまって支給される1人あたり給与(図2H)、特別に支払われた給与(図2J)、それを合わせた実質現金給与総額(図2G)は、いずれも実質で前月より増加。2ヶ月連続の増加。

これに雇用人数をかけて、企業セクターの支払総額(家計セクターの受取総額)にしたものが図2Kで、名目で+3.9%、実質で+1.8%の伸び。実質は昨年初から緩やかだが伸びており、総人口も増えていない以上、労働参加率の上昇によって、集合としての家計所得はインフレに勝っている(図3Fもそれを補強)。一人あたりで見ると左記事のようになるが、それは昭和のオトーサン中心主義であり、そんなことで国民を不安にして消費を控えさせても意味がない。

■ 時間 12月は景気一致指標である所定外労働時間(図3A)、総労働時間(図3B)ともにはっきり減少。ただ図3Bが横ばいレンジを逸脱したとは言えまい。減少はパートタイムだけで見られており、恐らく人手不足を背景とした正規雇用化が進んでいる(図3C)。