藻谷 俊介

1月10日1 分

労働関連統計 11月分

■ 雇用人数 異なる統計の、往々にして異なる結論を、恣意性なしで単純な星取り表として考えるのがここでのポイント。雇用の絶対「数」の動向を示す図2B青線、図2D青線、そして図2Eの「雇用三羽ガラス」は、季調前月比で2勝1敗で、先月の1勝1敗1分からは幾分回復して、先々月と並ぶ。

図2Eが示すように相対的に正規雇用化が進み、ハローワークに多い短期、非正規型の雇用が弱い。

■ 所得 きまって支給される1人あたり給与(図2H)、特別に支払われた給与(図2J)、それを合わせた実質現金給与総額(図2G)は、いずれも実質で前月より増加。先月号で「11月にはインフレ率が低下するため、かなり解消される見通し」と述べた通りの展開だ。

これに雇用人数をかけて、企業セクターの支払総額(家計セクターの受取総額)にしたものが図2Kで、名目で+4.6%、実質で+1.0%の伸び。予想通りプラスが戻った。赤線は昨年初から緩やかだが伸びており、総人口も増えていない以上、労働参加率の上昇によって、集合としての家計所得はインフレに勝っている(図3Fもそれを補強)。

■ 時間 11月は景気一致指標である所定外労働時間(図3A)、総労働時間(図3B)ともに微減。トレンドは横ばいと言うべきだろう。ここでも恐らく人手不足を背景に正規雇用化が見られている(図3C)。