藻谷 俊介

2023年12月10日1 分

労働関連統計 10月分

■雇用人数 異なる統計の、往々にして異なる結論を、恣意性なしで単純な星取り表として考えるのがここでのポイント。雇用の絶対「数」の動向を示す図2B青線、図2D青線、そして図2Eの「雇用三羽ガラス」は、季調前月比で1勝1敗1分で、先月の2勝1敗からは幾分後退。

■所得 きまって支給される1人あたり賃金は10月に実質で減少し(図2H)、特別に支払われた給与は実質で若干増えたものの(図2J)、実質現金給与総額も減少(図2G)。底割れ的に見えるが、これはエネルギー価格の上昇でリアルタイムでCPIインフレ率が一時的に4%を超えたための計算上のマイナス。名目ではいずれも2%以上の伸びを見せており、11月にはインフレ率が低下するため、かなり解消される見通しだ。ここでは、帰属家賃を除くCPIではなく、通常のCPIで計算している。また、法人企業統計の人件費は名目で4.9%伸びており(図3F)、4%インフレでも吸収できる強さである。

これに雇用人数をかけて、企業の支払総額(家計の受取総額)にしたものが図2Kで、名目で4.0%、実質で凡そ横這い。11月には上述の理由でプラスが戻ってくると予想する。

■時間 10月は景気一致指標である所定外労働時間のグラフが連続で上昇(図3A)。総労働時間も微増(図3B)。